オランダ退職記念旅行⑤「ちょっとずつ、慣れていく」
オランダ3日目
今日も朝から小雨。天気は気分に大きく作用する。
午前中は市内のマーケットに行き、午後はユトリヒトまで足を延ばしてミッフィーちゃんを見に行くことに決めた。
マーケットは、Albert Cuyp の日用品市と、
昨日見に行った(けど、イースターでやってなかった)Waterloopleinの 蚤の市
に行くことになった。
今日のミッションは、「トラムに乗ること」。
中央駅の自動販売機で切符を買ってみる。前の人も時間がかかっていたけど、私達も相変わらず苦戦して、すぐに後ろに行列ができて焦る。
でも、いつも近くにスタッフのおじさんがいるので教えてもらうことができます!!
無事に買うことができて、第1関門クリア。待たせちゃってすみません的な視線を後ろの人に向けると、「ぜんぜんOK!」とも「よかったね!」とも「ありがと~」ともつかないような(忘れた)、好意的なお返事とスマイル☺☺☺で送り出される。
や、やさしい!!
全然怒らないんだね。それぐらいみんなにとって扱いにくい機械ってことみたい。
(画面タッチの反応が遅かったり、クレジットカードを上手く読み取らず最初からやり直しということもザラだった。)だから、焦らず、諦めず。やっていればいいみたい。
Albert Cuypに行くトラムに乗る。昨日歩いた通りをスイスイーッと通り過ぎていく。トラムは楽ちん! 途中で花の市を通ったりしながら少しずつ駅から離れていく。どんどんどんどん……あれ? 行き過ぎたかも。車内放送の「Albert Cuyp」が聞き取れず、トラム内の画面表示でも発見できず、ゴッホミュージアムのところで慌てて降りた。通り過ぎたみたい。
ゴッホミュージアムでは、日本絵画展がやっているようでした。花魁さんの頭が見えます。
まだまだトラムは難しい。
歩いてAlbert Cuypに到着。
マーケットは……やってなかった!!
周辺のお店もお休みのようで、楽しみにしていた友人は落ち込んでいました。
イースターの翌日だからかなあ?
布の問屋さんもあるっぽい。窓から店の中を見たりするといっそう悔しいよね。
もう一度トラムに乗って、Waterloopleinに行く。こちらもお休み。
平日はほとんど毎日開催しているようなマーケットみたいだったから、かなりショックだった。イースターのこと知らないからわからない……。
身に沁みついた習慣や文化ってやっぱりあって、イースターのことを全然知らないから間違えてしまう。もしかして、っていう予測が全然つかないんだよな。あとから考えたらいい思い出かもしれなくても、今すぐはちょっときつい。雨だしね。
今度はメトロに乗ってホテルに帰着。いろいろな乗り物に乗れたけど、目的地での空振りが続いて落ち込む。私もマーケットで買い物したかったな。
午後。再出発して、中央駅からIC(国鉄)でユトリヒトに向かう。アムステルダムから30分。遠くに行くと気持ちが変わる。
着いたらミッフィーちゃんじゃないうさぎがいた。
サッカーしてる。ふつうだ~。
イースターのチョコをもらう。
ユトレヒトの駅はアムスよりもずっと都会的で近くにショッピングモールもあったりする。ちがううさぎはいたけど、全然ミッフィーちゃんのことが書いていなくて途方に暮れる。全然ミッフィーちゃん押しじゃないんだ。ミッフィーちゃんは幼児のもの、ってどこかに書いてあった気がする。
何となくの方向で改札から出ちゃったけどわからない。もう疲れていて、誰かに聞くという気力がなくてやみくもに歩いちゃう。
空振り続きで何も手にしていないことと、実は一日でたくさんいろんなところに出かけていることに気付かないで、ちょっと無理して疲れてた。(帰ってきてからの考証。)
朦朧としたまま誰かのあとについて何かの階段を降りて行こうとしたとき、知らないおじさんが近寄って来た。英語で話しかけてくる。
「その下は自転車置き場しかないよ。自転車置き場に用があるの?」
たぶん、酔っぱらっていると思う。ちょっとこわい。服もよれよれだ。通じてないと思ったのか、何回も言ってくる。
でも、自転車置き場は困る。このうえ、間違った道を歩いて引き返したりするような体力はもう全然ない。
「違うんです。Central Museumに行きたいの」
すると、道を説明してくれた。
「アルバートハインってわかる?」
「スーパーマーケット?」
「そうそう、そのスーパーの角を曲がってまっすぐ行って……」
とか、こちらの理解を確認しながら、かなり細かく説明してくれる。聞いてるとなんか距離ありそうだな……と思っていたら、
「でも、ほんとのこと言うと……バスで行った方がいい」
バス!!! そうなんだ。乗ります乗ります。
『地球の歩き方』には、「ユトリヒト街ぶら~♪」が勧められていて、歩いていく方法が推奨されていて、私はそのまま受け取っていた。
でも、ほんとに「ほんとのこと言うと」、街ぶら的にミッフィーちゃんにたどり着くエネルギーってもう今ないや。
「センキュー」って言って別れようとしたら、おじさんは「バス停まで案内してあげる」と言って歩き出した。大丈夫かな、ちょっと怖いよな、と思ったのはやっぱりおじさんが酔っぱらっているからで、実際にお酒の匂いもプンプンするから。
おじさんは一緒に案内所に行ってバス停の場所を聞いてくれたあと(案内所の人にちょっと煙たがられている感じ)、そのままバス停まで連れて行ってくれるようだった。
正直、このまま一緒にいていいのかわからない。おじさんに怪しい言動はこれまでのところ無いけれど、この後もずっとそうかわからない。
酔っぱらいのおじさんに日本人二人が連れられて行く様子は人目を引いていて、すれ違いざまにみんなにじろじろ見られた。
おじさんは楽しそうにいろんなことを聞いてきた。
日本のどこから来たの? とか、バケーション? とか。
私が質問を聞き間違えると、「もう! ちがうよ!」と大げさに呆れた感じのしぐさになって言い直してくる。ちゃんと話がしたいらしい。おもしろい。
おじさんは自分の話もした。元船乗りで、日本にも行ったらしい。「神戸」っていう地名がいちばん最初に出てきたのも縁かもとか思う。ユトリヒトの駅の大きいことや、ずっと工事していること、船乗りをやめて今は自分もここで工事の仕事をしてるということなど。
ひやひやしながらだったけど、そこに住んでいる人と話すのはやっぱり楽しかった。
バスのロータリーが見えてきて、あそこだよ! と指さされる。今度こそ、センキューベリーマッチと言ってお別れする。私達がバス停の前で待っていて、チケットの買い方どうするんだろうとかの話をしていたら、なんとおじさんはまた現れた。どきどきする。なんか要求される?
おじさんはポケットから自分のスマホを取り出して時間を調べてくれた。
「今日は火曜日の時間で……」と言うから「月曜日じゃない?」と言ったら、
「この国では今日はイースターマンデーで祝日なんだよ」と言っていた。なるほどそういうことか。これでやっぱりようやく、マーケットが休みだった理由に確信が持てた。やっぱり現地の人に聞かないと全然わからない。
バスがやって来た。
運転手さん(おじさん)に、「チケット持ってないんです」と言ったら、「次の運転手と交代するからちょっと待ってね」と言って次の女性の運転手さんになにやら説明して、降りて行ったと思ったらもう一度バスのステップを上って近づいてきて、
「オランダを楽しんでね!!☺☺」
なんだか泣きそうになった。疲れていたし、いろんなこと不安だったし、でもめちゃくちゃやさしい!! そんなこと言ってくれるんだ……。わざわざ戻ってきて言ってくれた。すごいなあ。うれしいなあ。
ユトリヒトの街は童話みたいなかわいい風景で、本当に信じられなかった。小さなバスが小道を曲がるたびに現れる景色に、こんな街本当にあるの?? とずっと思っていた。チボリ公園なんじゃない?(友達談)
実はミッフィーミュージアムには入れなかった。チケットが売り切れで、行ってみたものの、アンネのようにはいかなかったのです。そこで、……
向かいのCentral Musiumで、ブルーナーさんの仕事ぶりについて学びました。
最後に、マネして絵をかいてきました。テーマは、「今日これから起こりそうなこと」。右が友達で、左が私の絵。やさしいおじさんと犬。電車に乗る犬をたくさん見たので。
帰りにユトリヒト駅でHEMAに寄り、たくさん買い物をしました。オランダのプチプラ、無印良品。なんだって。かわいくて変なものがいっぱい売ってて私たちはとっても満足しました。
しましまの電池とカラフルな耳栓。耳栓を友達のおみやげにしました。
さらに、アムステルダム中央駅(構内です!)で、念願のクロケット(コロッケ)自動販売機を発見!
やったぜベイビーー