「おたよりはまだ来ません」から始まる物語
風邪をひいているのに(たぶん)、薄着で昼寝をしたら悪化した。
貧血にいい調理器具と食材をもとめて出かけて行ったら疲れたのだ。
結果的に、一生懸命買い物をしてしまった。
アイスとかにんにくチューブとかブロッコリーとか。
これでしばらく食卓はうるおうぞ!
フリーになっても金曜日はうれしいのである!!
(冷えピタとかポカリとか万が一の寝込みグッズ買うの忘れた……)
ずぶちゃんの文章を読みました。
最初の、「おたよりはまだ来ません」が、とても好きでした。
それだけでごはん三杯いけますね。
ええ、書けます書けます。
(「税についても書ける!」という自由律俳句を、昔いっしょに作りました。われわれの自信と野心の表れです。)
毎年テレビでやっている、小田和正の『クリスマスの約束』という番組があって、ここ数年は観ていないのですが
(宇多田ヒカルが来た時は観た。めちゃくちゃよかった)、
それを思い出しました。
十数年前から毎年クリスマスにやっている番組で、コンセプトは小田さんが一緒に歌いたい人達に手紙を書いて(それぞれに、自分で!)、番組(観客もいるライブ形式)にお誘いする、というもの。
調べたら2001年からやっているらしい。
小田さんは、7組のアーティストに手紙を送ったけど、全員出演辞退。
誰も来なかったのです。
お手紙出した相手は、山下達郎、松任谷由実、桑田佳祐、桜井和寿、SMAP、福山雅治、宇多田ヒカル。
その顛末を、小田さんは、大勢の期待するお客さん(と視聴者)の前で、「断られちゃったんだよ……」とか「ということで、誰も来ません」と言いながら、よびたかった人達の歌をひとりで歌うのです。
なかには謝罪というか、来られない理由とよんでくれた感謝を返事に書いた人たち(山下、福山、宇多田パパ)もいて、それらを読みながら。
小田さんでも、相手が来ないということがあるんだ……、と驚き、
小田さんがとくに取り繕うことなくそのすべてをのらりくらりとしゃべりつつ歌っていく時間がよくて(もちろん小田さんの歌声がよくて!)、
こんな番組観たことないなーと、ワクワクしながら観ました。
翌日、好きなラジオのDJも昨夜の小田さんの番組よかった~って言ってたよって、母から聞いたのは今思い出した。
それはとても好評だったそうです。
翌年、小田さんは手紙は書かずに、自分の曲といろんな人の曲を歌った。
とにかく「誰も来ない」というのが切なくも、何かの余地を残し、
想像させたり、また不足を感じさせたりもして、全部をジャーン!って完全形にしてみせてこないところがすごくよかった。
おなじみの「誰も来ない」で「ふふふ」と笑い、逆説的にみんながゆるくつながっているというような。
前年の放送を観た桜井和寿から届いたという手紙が紹介されたのが一つのクライマックスで、その内容がけっこう衝撃的だったこともだんだん思い出してきました。
いわく、
- 当時どうしても都合がつかなかったこと
- 番組を観た感想と感動
- 返事も出さなかったことの反省と謝罪(これ立派)
- 形の見えない、新しいことへの不安や、もしかしたら小田さんを利用して立派で豪華な歌番組をやろうとしているのではないかというTBSへの不信感。
売れっ子のミュージシャンが、商業的に都合よく利用されることへの警戒と嫌悪を、こんなふうに露わにすることにどきっとしたし、切実さも感じた。
そういう意志の表明はとても新鮮で、もっと見たいと思ったしすごくいいなと思った。
なにより、新しくて形のよくわからないことへの挑戦を(たとえ小田さんと一緒にであっても)ためらい、恐れ、控えるのがふつうの人たち(私自身も含めて)の心理だなーということ。
こわいもんね。いそがしいし。
でも、桜井和寿もその手紙で書いていたように、この形でよかったのだと。
誰も来なくて、結果、そこから生まれたことがあったということだと思う。
観ていた私は、不完全で未知で先行き不安で思う通りにいかない ところに魅力を感じて惹きつけられた。
小田さんと聴衆とのやり取り、歌、手紙の朗読、語り。
そのときそこで生まれる物語をみんなが楽しみにしていた。
翌2003年、2004年はゲストがやってきた。
2005年は、ゲストにSMAPの中居正広がやってきて、『夜空ノムコウ』を一緒に歌ったのが忘れられない。「僕は歌手じゃない」とか言って、いつもの照れ隠しと本気の拒否とおふざけ半分で逃げ腰の中居君を、小田さんは穏やかに励まし、歌声を引き出していた。いい歌声だった。
私は、小田さん先生みたいだなーーと感動して観ていた。
そのあとは、毎年いっぱい人が来た。
〇年連続出演の人とかも増えて、しだいにカンパニーっていうか、バンドみたいなのができていったみたいだ。(この辺のことは、あんまり興味がわかなかった。)
特筆すべきは2016年で、宇多田ヒカルがやってきた。
「最初のお手紙から、15年の時を経て」というのがドラマチックだし、それは彼女が活動再開した年のクリスマスで、白い服を着た宇多田ヒカルは神様みたいだった!
(また描きたくなってる……。)
子どもみたいな大人みたいな。
小田さんは、「天使のようだ」と言ったそうな。
ずぶちゃん、「おたよりはまだ来ません」から始まるすばらしい物語が、
こんなにもたくさんありますね。
不完全で未知で先行き不安で思う通りにいかないことを
一緒に味わってきた友達と、
そしてまだ見ぬお友達へ。
これからも、今はまだない物語を一緒に作っていきましょうね🏠
だんだん頭が重くてしんどくなってきたのでおしまい。🏥
ふたりは友達。