ふつうでちょうどいい空間で寝こむ🐈
珍しく風邪っぽい症状で、鼻水が出て声が変なのです。
これから悪くなるか、よくなるかの境い目にいる実感がある。
ここ数日、変にじめじめと蒸し暑く、薄着でいた(いる)のが原因だと思う。
なんとなく後ろから寒さがおそってくるような気がしているのも、
夕方になってきたのにあたたかくしていないためか、悪寒的なものなのかよくわからない。
感覚的に、そんなに悪くないと思うのでとりあえず放っている。
ラジオをかけはじめると終わるまで終われないので、わりとずっとここにいることになる。
それは、お菓子を食べ始めたら最後まで食べてしまわないと終われないのや、
小説を読み始めたら最後まで読んでしまわないと終われないのと同じかもしれない。
風邪っぽいにおいをかぎながら、柴崎友香の『ハッピーでニュー』(角川文庫)を読んだ。
新年に寝込んでいる一人暮らしの女性の話。
体温の低い感じや、自分に関係あるようでない同世代の女優への複雑な心情、
ちょっとだけ自分より世間のことを知っている(年上の)同僚との会話。
少ない文字数でこんなに伝えてくるってすごいよな~って、鼻をすんすんいいながら読む。
実はずっと前に読んだ時は、神田川さん(年上の同僚)がちょっと嫌だった。
帰省した実家に鍵を忘れてきたからって押しかけてくるなんて、かなりずうずうしいと思った。
でも、今回全然嫌じゃなかったんだよなー神田川さん。
最初こそ中年の厚かましさで押し切ってくるけど、主人公が神田川さんに物を言えていないわけじゃないし、
「ただ一晩、ほんのすみっこを間借りさせて。置き物と思ってほしい」
っていう言葉どおり、神田川さんは主人公の生活(部屋ぐちゃぐちゃ)に、一切干渉も寸評もしない。
だからといってひたすら置き物化しているわけでもない。
「ハイハイわかったこの下のマットレスを引っ張り出して敷けばいいのね? やっとくから。お風呂入るとこだったのね、本当にごめん、入ってきて」
ってな感じで、ちょっとお母さんかお姉ちゃん入ってる。
すごいふつう。ちょうどいい。
(もちろん主人公は、もてなしたりしない。)
そしてその一晩、ちょうどいい合いの手と見解を交えて主人公とおしゃべりしておしまい。
なんてちょうどいいんだ!!
いろいろと自分に重ねたり、ふつうでいいよな~と思うんだけど、それを書けるのがすごいんだけど、そのうえ一家言あるんだよみんな。
一家言っていうか、意見? 意思?
でもでもでもでも~
妙に心ひかれるのは、主人公の部屋ぐちゃぐちゃがもっとも効いているのかもしれません……
動物の名前を集めてます~