むりむりちゃん日記

私が孤独なのは私のせいではない

急に短歌を作り出す

週末に隣の街のフリーマーケットで歌集を買った。

古本じゃないのに古本屋さんが売っていた。

休憩したあとに2度目に寄ったら、店の前に出してあって手にとってしまった。

動物が人みたいな絵が散りばめられていた。

 

短歌には、「トリガー」とか「ツイート」とか「リプ」とか出てくる。

「いける」とか「本当の自分」とかいう言葉もある。

それを自虐するような……歌風?

今風だ。完全口語の。

パッと見又吉くんの自由律俳句の系統で、でも又吉くんなわけないんだからその路線は厳しいかも、とか勝手に思って読んだ。

 

「最近デビューした人の中で一押しです」と彫りの深い顔の店主が言う。

なんか共感しちゃうんですよね。スッと読めるっていうか、入ってくる。関西出身の人なんですよ。

と言っている。

 

なんとなく見えてきた気がしたけど、はっきりしなくて迷う。

帯で女性の有名な歌人や、若手シンガーソングライターが推薦文を寄せている。

持って帰って見たいなと思って買った。一緒に鳥獣戯画の描き方の本も買う。

「奈良にも遊びに来てください」と彫りの深い店主に見送られる。

隣の古本屋で、犬養孝の『万葉十二カ月』を買った。表紙の奈良王朝時代の貴族の女性の絵がきれいだった。

 

帰ってベランダでビールを飲みながら短歌集を読んだ。

ぞわぞわっとした。

なんでだろうなんか……。

まず、私も書けるようなことだなと思ってしまってすぐに、でも私は書いてないんだからそれを言ってもだーめよ、と自分を怒っておく。

『万葉十二カ月』や鳥獣戯画の描き方の本を漫遊してちょっと描いてみて、

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直後にまた短歌に戻ってきた。

 

なんなのじゃ? この中毒感? なんだか見えない糸に引っ張られているような感じ?

と思いながら、

後ろのプロフィールを見ると作者私の二個上、男性。

 

ふえーふおー。なるほど。わかった。わかってきた。そういうことね。

男性であるということも、年齢も、見事に私のプロファイル診断に合致する。

これは……

 

 

 

 

 

 

 

 

ミドル・リーダー*1による短歌集だーー!!!

 

 

 

嫌なのは、短歌に漂うドヤ感だった。

ドヤ ( ̄‥ ̄)*2

 

なんか、うまいこと言ったった感というか。

言った後、シンと黙ってこっち見てくる。小鼻膨らませてる、みたいな。*3

 

あ~~本物を引用したい! でもあからさまにディスりたくはない。

どうしたら伝わるか……。

 

せや!(どや! に対抗して。)

マネして作ってみよう!(すぐマネする。)

 

~ にせもの短歌 by むりむりちゃん ~

 

  • セオリーから外れたがる生徒を叱りわが青春の終わるを悟る
  • 人事はコネやからねとネコなで声で言うネコを追いかけながら
  • 君のテストの問題には遊びが足りないもっとずっとあれほらなんていうか
  • 髪切った人には必ず声をかけることにしてるそう決めている
  • 神経と血管はニコイチと言ってくる主治医に黙ってうなずく
  • 映画『沈黙』? あー遠藤周作の? サイレンスのことね。観れてないけど。
  • 普段不機嫌な同僚に昨日頼まれ分厚めの画集抱えていそいそと出勤す
  • 気に入るとくりかえし買う癖来世でも自分を見つけるためのフラグ 
  • 休日補習は自分の教室でやるのがセオリーでありポリシーでしょ
  • スタバの冷めたコーヒーは煮詰めた味噌汁の味がした(私か?)
  • 若松英輔買わずに穂村弘買わずに店長一押しの歌人のを買う(私か!)

 

難しいなー楽しいなー!わくわく。。

ほとんどミドル・リーダー先生ver.です~。

でも、ミドルリーダーを観察する私が混ざってきてまだまだっす。

 

醸し出したかったのは、 

全体にただよう、わかってる感、こんなことも見えてるしこんな言葉だって使っちゃうんだぜ、という感じ。

 

これは、男性が社会に押し付けられた性別役割分担を内面化してしまった、男性ならではの哀しき結果なんですが、 まさか歌人の中にも現れるなんて と驚愕している。

一般的に(むりむりちゃん調べ)、歌人や詩人の男性というのはどこか女性的というか、社会が男性に要求してくる男性性(力強さやリーダーシップや女性を上回ることや死ぬまで働くこと)を退けたり、そのような場所から逃げ出してきたりするタイプが多かったし、実際歌や詩がお金につながらないことを思うと、この世界を選ぶ時点で彼らが男性のマッチョイムズとの縁切りか隔絶か、なんらかの葛藤を経ていることが多かった。

それが、自らの男性性とそのドヤ感を素朴に有したまま歌人になるっていうケースは初めて見た。しかもたぶんそのことに気付いてないんじゃないか……。

 

私のにせもの短歌からもわかるように、底の浅さや中身のなさが特長(長!)です。

読んだ者に、物足りなさと自分も書けるのでは、イヤ書いてないしむりか……という思いを持たせる雰囲気を、そこはかとなくまとっている。のじゃ。

 

それでも、私が妙に心惹かれて(買って)持って帰ってしまったのはなぜか……。

 

それは、私がミドル・リーダーが好きだからなんですー……(結局)。

愛憎入り混じるというか、あわれを感じるというか、むげにできないというか。

その被害にも遭い、実態をいち早く見抜き、対策も立てるのですが、一方でミドル・リーダーのことが好きという矛盾した構造に、いつももがいておりました。

 

今後書きたいテーマのひとつです。

さらにもうひとつ。

 

絵・が・か・わ・い・か・っ・た!!!

結局それなのでした。(気付いてたよ?)

最初から最後まで絵にキュンとしてました。

動物が人みたいな絵。

安福望さんという方のイラストでした。

カラフルで表情がなくて後ろ姿もかわいい。

この絵でだいぶこの短歌集の世界観救われてるって私は思う。

おまけに、ポストカードもろた! 

から、なおさら買っちゃったんだな。

 

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安福望さんの絵。塗ったのは私です~

(今、絵がキテルらしい。)

*1:ミドル・リーダーとは、30~40代男性がしばしば職場で命じられ、リアル・リーダー(役職付き)になる前に、練習というか試練として、それらしくふるまうことを強いられたり強いられなくてもなぜか察知し、自ら進んでそのようになっていった人のこと。私やその周辺が命名。よくみられる症状は、会社と同化する病。私的会話でも会社のことを「ウチは…」とか言っちゃう。特徴は、(何も成し遂げていないのに)エラそう・形式重視・デザイン重視(中身の判断力なし)・マッチョ主義・女性にはやさしい(弱いものと決めつけているため)・24時間働く・からまわっている。

*2:どや顔 顔文字」で検索したよ。「どや」って打った途端に「どや顔 顔文字」が提案されて、みんなそれぞれの直面するどや感に何とかして向き合おうとしてるんだなと思ったよ

*3:

それもあって、数ある「どや顔 顔文字」の中からこれを選びました。( ̄‥ ̄)

短歌だしね、多くは言わない(っていうテイ)でしょ。