むりむりちゃん日記

私が孤独なのは私のせいではない

続・バスで泣く。「絶望の中の希望」

瞬間の絶望は止められないし、それは私の癖でもあって、これからも絶望すると思う。

 でも希望もあった。

そのことを大事にしたい。

 1.個人のつながりと活躍

Twitterを通し、怒涛のように押し寄せてきた絶望、よりどころの無さ、不安、信頼崩壊のタイムラインの中でも、たしかに存在していたのは、被災者の声をとらえ助けを呼びかけたり、その声に具体的にこたえ行動する人々について伝えるものだった。

行政を通した救助もあったし、個人の活動もあった。国による対策の遅れやマスコミによる報道の手薄さが指摘される一方で、できることを人々がしていた。近くの人も遠くの人も、被災状況の詳細を共有しようとしたり浸水復旧法をまとめて簡単に見られるようにしたり、この先考えられる困難への備えを呼び掛けたり、励まし合ったりしていた。これらは、人々の活動だった。

 

国や全国ネットのテレビのような大きな組織よりも、個人の考えや経験者の知恵が、瞬発力をもって活躍していた。

ネットの中だからそう思ったのかもしれない。

でも、私はそのことに慰められ、希望を感じた。ずっと泣いていたけど、その三分の一ぐらいはこの希望についての涙だったと思う。

個人は頑張っている。人々が助け合っている。それしかない。

希望と混ざり合った悲しさの中で、そう思っていた。

 

2.安冨先生のかわいい選挙活動

 

もう一つ、大きな希望があった。それは、東大の安冨歩先生が東松山市長選挙に出馬したことで

(先生は「馬と共に生きること」にたどり着いていて、まさに馬に乗って出馬宣言した!)、

この期間はちょうど選挙活動期と重なっていた。この選挙活動が、かわいくて素敵だった。

安冨先生は、私たちが通常何も考えずに「普通」だと思っていることをさらりとかわして覆し、楽しくて幸福なことに変えてしまう。

選挙もその調子で、

  • 無所属
  • 無意味な名前の連呼無し
  • 対立候補(現職)への批判無し。

散歩ムードで道を歩き、野山を分け入って田んぼの蛙に演説したりする。馬に寄ってきた子どもと話し、連れ歩くチンドン屋と歌い、踊る。

政策は、「子どもを守ろう」。もちろんスピーチもすばらしく、聞き始めたら最後まで聞いてしまう(寝る前の安定剤)のだけど、何よりも、スカートをはためかせ踊るように歩く先生や人々の姿は「希望」だった。

地獄のようなタイムラインの中で、命懸けでとぼけている、かわいい活動。ここに希望があるのだし、ここに正しさがあるのだと確かめて、救われる思いがした。

これにもまた泣いた。

 

私は3~4年前から安冨先生のファンだけど、よく取り上げられるその外見だけでなく、先生はいつもずっと進化していた。

大学の講義や研究だけじゃなくて、馬や絵画の方に世界を広げて(それは先生自身の癒しでもある)るなーと思ったら今回の立候補だった。

 

厩舎で出馬宣言を行った理由を「街にこういう景色を取り戻したいから」と語った。

記者たちは訳が分からないと言った風で先生にしきりにつまらない質問を投げかけた。

いわく、「ご結婚は?」「本名は?」「東大は辞めないんですか?」「住所の詳細を番地までお願いします……!」

まさに定型の、相手が誰かということを一切考えない、答えを聞いたからといって何がわかるわけでもないような問い。それらに(しかも重複アリ)辛抱強く答え、記者をあやした後は、完全に安冨先生の独壇場だった。

「子どもを守ろう」の意味、自分が出馬することの意味、子どものすばらしさ、馬のすばらしさ、東松山のすばらしさ。記者たちを前にユーモアを交えて丁寧に話していた。これが本来の「先生」のあるべき姿だーと思うものだった。

記者たちはまるで学生だった。大学の講義を聴くような面持ちで神妙に聴いていた。(事実、翌朝の記事ではそのように書かれた。)

安冨先生は、違和感を持っていた男性装をやめて女性の恰好をするようになった結果、様々な呪縛から解き放たれ、さらに自由に、馬や絵、音楽へと世界を広げている。

私も今、解き放たれて、文章だけでなく絵も描くようになった。同じ。(馬も好き。)

 

安冨先生と、私の友人のみさき先生

zubunogakkou.hatenablog.com

はよく似ている。

 

二人とも、従来の「普通」とされていることにとらわれずに自分で考え、良いと思ったことを実行している。歌ったり踊ったりするのも同じ。物を描(書)いたり作ったりするのも同じ。時々過激派になるのも同じ。繊細でやさしく、行動する人。

だから尊敬し、信頼している。

3.タイの友達

 

絶望の中の希望は、いつもこの人のような気がする。

同じ日のタイムラインの中で、こんな記事も見た。

 

mainichi.jp

 

自己責任論、少ないんだ……。日本では信じられないその状況に、私の絶望はますます深まった。やっぱり日本は異常で生きづらすぎる。

そのままタイ人の友達にLINEをした。

私の一連の絶望も含めて。国は信頼できないよ。あなたの国はすばらしくてうらやましい。

すると返事が返ってきた。

  • 「災害は予想できない。しかも、人間より強いよ。でも、何かあったら助けるのは人間の役目ではないかな。今回(洞窟事故)は海軍1人死亡だが、海軍たちも止まらない。みんな、頑張ってる。あなたの国のspecialistsも来てくれたよ。ありがとう。」
  • 「洞窟から水を吸いこんで外に出すことは日本のspcialistsもサポートしてくれたようだよ。」
  • 「こちらから応援しています。」
  • 「あなたの友達がここにいる。」

 

この日、私はまた京都で学校(「世界文庫」)に行き、友人たちに会った。

何気ない会話がうれしく、楽しかった。

遠くから気にかけてくれる人と、身近な優しい人たちに救われている。

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貴婦人の昼寝(ソファー)の前で寝ころがるパンダ(私)。

(パンダはプロの方の絵です~)