オランダ退職記念旅行⑦「塔に登ってぼーっとする」
いつも、ただ遠くに行きたくなるだけで、そんなに目的はない。
子どもみたいに電車に乗って出かけたい。
アムステルダムでは教会やミュージアムなど建物には入らなかったから、デルフトに来て、入ってみたいなあと思った。
新教会には塔があって、登れるみたいだったので登ることにした。
何はともあれ、高いところに登ってみたいらしい。
『冷静と情熱のあいだ』(江國香織、辻仁成)以来(?)古……)、ヨーロッパの高い塔に登って街を見渡すって憧れな気がする……。(イメージです。)
手前が市庁舎、奥が新教会。間が広場です。
張り切って登り始めたのはいいけれど、それにしても階段の永遠に続くこと!! ノートルダムのせむし男みたいだった(イメージです)。
狭くて暗くて、すれ違うことなんかできない。
そもそも私はスノウシューズみたいな、登山靴みたいな頑強な靴でこの旅に挑んでいるから、足はまったく鉛のようでした。
日本の城だと思ってください(多いなこの例え……)。
ただし、あの、頭上注意・足を踏み外したら終わりの狭狭階段が、500倍ぐらいの長さでらせん状に延々続いていくと想像してください。先は見えませぬ。
むーりーりーむー。
やめたいって何度も思ったよ。でも、やめたところで何もないし、何も手にしないまま同じ距離を同じ思いして帰るのはもっとむりで、心を無にしてずんずん行きました。
途中、上から降りてくる人と出くわして、最初のころは「降りる人優先」ルールみたいなのが急に浮かんで、当然デショな顔で即座に脇に寄ってできるだけ平べったくなって譲っていたけど、そんな余裕は長く続かず、誰も私の勢いを止めてはならぬのオーラに巻き込んで、たくさん譲ってもらいました。
「Go ahead!」とか、「Hi! Hello! 」とか微笑みとともに言われながら。こういう一言のある文化ってやっぱりいいよな~、と思いながら、みなさんの親切に甘えました。
到着した先で見たものは……
すっごーーーーーい!!!
こういうことか。こういうもんかー。
美しい街っていうものを、目の前にまじまじと見ました。こういうところで生まれ育つ人生があるんだなあ。
しばらくぼーっと見ていました。
ロッテルダムも見えるらしいです~。あれかな? あのビル群かな?
降りてからはもう満足して、あとはふわふわとその辺を歩いた。
それでもう十分な気がした。
右端の建物にカフェが入っていてね、拡大すると……
こんなところで勉強とか、文章とか書くとかする人生……。
帰りの電車はアムステルダム中央駅行きでわかりやすくてよかった。
デルフト駅。「デルフト焼き」という、ブルーの焼き物が有名な街です~
乗っていたら途中の駅でオランダ語だけのアナウンスの後、人々がみんな降りていく。どうしたんだろう? すると、ひとりの女性が通りすがりに私に、「この電車、ここまでしか行かないんだって」と教えてくれる。
そうなの!? 急な変更か何かなのかな。わからないけどみんなについて降りた。別のホームにアムス行きの電車が待機していて、無事に乗り換え完了。よかった。教えてくれるのやさしい。みんなやさしい。
ホテルに帰って、友達と落ち合って、無事終了。
ただし、今日はこの後、まだもう一つ冒険があったのです。