第1回退職記念お話会② @公民館
公民館のいいかんじの和室をさらにカスタマイズしたくて、愛知県の友達(芸術家)に作品のレンタルをお願いしていた。
作品のタイトルは、 「永遠と続く風景」 。
イメージは、「部屋に山を散らばらせる感じ」でしょ? と言って持ってきてくれた。
いろんな形の山がかわいい。すごくいい。
(「永遠と続く風景と犬たち」。犬はみさきディレクターの手作り。)
私の急で曖昧なリクエストに、友達はスッとこたえてくれる。
それほどの説明も要さないのがすごい。
言葉じゃないんだろうな。
その筋の人。
前任校で同僚だった先生が来てくれる。やさしい先生。
4年前、一緒に修学旅行に行ったとき、沖縄行きの飛行機で先生の海外旅行のお話をきいた。ベルギーの話が面白くて憧れた。新聞記者のタンタンの国。行きたい! ってその時に思ったんだ。
それで、明日からその近くのオランダに行くのです。
そういう話ができるのがいいよな~。仕事じゃなくて、趣味の話。
みんなでピザを食べる。
お使いから帰ったADが、全体を一瞬見た後、人が少ないテーブルに座り、今度自分が行くピースボートの話とかをしている。同じテーブルの人達が初対面であるということは彼にっては全然問題ないらしく、とても普通に和やかに。
ディレクターはその様子を見て、「すばらしい。やはり健脚!」と絶賛する。
Dいわく、彼は心身ともにフットワークが軽く(=健脚)、自分と相手の間に何の壁もないかのようにひょいっと越えている。誰とでも屈託なく平気に。
すげえ。思えば、高校生の時からそうでした。
さらに、卒業生がやって来る。ADとは同級生。
「他にも何人か声かけたんやけど、バイトらしくて……。みんな『第2回もやるやろ~』って言ってた。」
一人ででも、来てくれるのがうれしい。ありがたい。他の人に声かけてくれるのがサイコー。そういえばそういう人だったな。気軽に声かけて、自分もひょいっと現れる。そんな感じでいつも助けられていた。思い出した。
彼も、サークルとバイトと忙しくしているという話をしてくれる。
「第2回はオランダやで!」(「やで」好き。)
と言うと、みんなびっくりするのでおもしろい。
お話会二次会を開催する。みんなで三角帽子をかぶる。
座布団を積んでその上に座り、お話をする。うたを歌う。
やさしい先生が、「三角帽子は友達の証なんですね」と言ってくれる。そっか~。そうだったのか。うれしい。「三角帽子は友達の証」。いい言葉だな。
新しいお客さんが来た。前任校の同僚。生物の先生。
さらに、突然、玄関から金髪が顔を出した。ニコニコして入ってくる。
今年卒業した三年生だった。仲良しの二人組で(金髪は一人だけ)一緒にやってきた。
二人ともとにかくニコニコしている。
「俺ら今日の服、お揃いみたいでしょ! 恥ずかしいわ~」と言っている。確かに、コンビみたいに二人とも白い服を着ている。
全会話、笑わせにきているのもおもしろい。関西弁ネイティブの掛け合いたまらん……。「セトウツミ」みたい。
さっそくディレクターに、
「オーディション合格! 次回はコンビ名とネタ1本用意してきて」と言われている。二人は、ここにたどり着くまで神社の中で私を探しながら、あらゆるイベントに参加してきたらしい。
バスケとかクイズとか将棋とか、いちいち参加しながら捜査しているのを想像すると笑っちゃう。ゆるくてとぼけている。
堂本剛君の『33分探偵』じゃん。
金髪を連れてきた方の子が、到着してすぐ、スッと三角帽子をかぶって普通の顔をしていた。
お話会三次会を開催する。
みんなで「友達の証」の三角帽子をかぶる。
ディレクターの提案で、対談形式にしてみる。
まず、私×生物先生の対談。
私が、先生の好きなところをみんなに紹介する。
長崎の島の出身で、海と第一次産業が身近にあり、それ由来の迫力がある。
自分で蚕を育て、絹糸をとり、ハンカチを織るとか、たとえばそういうことをする人。そして、とってもやさしい。
先生は、自分が隠れキリシタンの末裔だという話と、数年前の私の顔が腫れた事件(歯痛が原因)の話をした。
私は、当時先生の部屋(いわく、「西日本随一のすばらしい生物準備室!」と先生はいつも感動してる)に駆け込んで泣いたり、話をきいてもらったりしていたことも話す。
今の生徒と、過去の生徒が同じ場所にいるのがおもしろい。
一緒に真剣にきいているのがおもしろい。
次に、私×セトウツミの対談。
私が、彼らの好きなところやすばらしいところをそれぞれに紹介する。
◎学校の雰囲気柄、授業中もおとなしくて、いい子で座っている周囲の中、一人だけいつでもこちらの問いかけやおしゃべりに「こたえよう!」としていたこと。≪金髪≫
◎私が最後の授業で宇多田ヒカルの曲を流してごきげんでぶらぶら教室を歩いていたら、
「先生、歌わなくていいの?」と聞いてきたこと。(よく授業で歌をうたっていたから。)
よくわかってくれているな~と感動した話。≪スッと三角帽子≫
そこから、文化祭の劇の話、金髪から女の子を守る話、ギャップねらいの話、周囲によらず自分の思うことを貫く話、私が辞める話、そして、本当はこのお話会をホールでやりたかったし、私ならやれると思ってた! ということ。
(「私ならホールでできるって、素で思ってたの!」、
「「先生なら、素で思ってたってわかりますよ~」」)。
どんどん出てきた。
そのうち、「先生ってけっこう……自分のこと好きですよね?」と金髪に言われて悶絶する。自己愛の強さがバレていた。恥ずかしい。
でも、いつでも優勝をねらっている(その場でいちばんおもしろくありたい野心)のは彼らも同じなので、
それってつまり自分好きってことなわけで、
じゃあ一緒だからいいかと思う。
学校の中ではこんな話を交わすことってなかった。こんなに自由に話す時間や機会、きっかけがなかった。廊下ですれ違うだけで、ただおしとやかに挨拶していた。実はこんなに言うことがあるとは。彼ら自身についても、ただ話すっていうことだけでも。
学校の中っていったい何だったんだろう。外に出たらこんなに自由だった。
みんなで後片付けをする。山を1個ずつ、プチプチの緩衝材に巻いてテープでとめ、梱包する。セトウツミは、あ・うんの呼吸でどんどんうまくなる。
金髪は京都に引っ越すらしく、ちょっとだけ不安そうな顔をしている。
これが3月と4月の間の時期ってことか。
それもあって、来てくれたのかもしれない。
みんなで帰る。また会えそうな気もする。今日来てくれたことが大事で、ここから始まるんだなあと自然に思える。やってよかったなあ。来てくれてありがたかったなあ。