むりむりちゃん日記

私が孤独なのは私のせいではない

『シェイプ・オブ・ウォーター』は人権映画です

 

昨日は今後への期待と希望で空想が止まらなくなって興奮して眠れなくて、ヨガに寝坊した。

映画だけ行こうと決めて準備をしていたらテレビの占い、

「12月生まれ・・・今日は映画館でよい出会いが✨」

やったーやったー。

 

昨夜ニュースで、『シェイプ・オブ・ウォーター』がアカデミー賞を受賞したと言っていて、え~~ と思っていたら、

・主人公の話せない女性

・異形の生き物

・黒人の女性(主人公の友達)

・ゲイの隣人(主人公の友達)

という、“声を奪われた人々”が登場する物語という説明で、

さらに、

・監督はメキシコ移民。受賞のスピーチで、「私は子供だった頃メキシコで育っていてこういったことが起きるとは想像もしませんでした。しかしそれを実現しました。夢を見ている人たち、ファンタジーを使って現実について語りたいという人たち、夢はかなうんです」と話す。

(急に長いな! ……調べました。)

ギレルモ・デル・トロ『シェイプ・オブ・ウォーター』作品賞含む最多4部門受賞!<受賞結果リスト> - シネマトゥデイ

 

そんな話だったんだー 人権! 人権!! と盛り上がってきて、好きな映画館でやっていることを知っていたので行くことに決めたのでした。

 

かんたんなあらすじ

 

主人公のイライザが住む、映画館の上にあるアパートが古くて不思議でかわいい。

孤独でひとりなんだけど、隣人の売れない画家のおじさん、ジェイルズと仲良しなのがいい。彼はゲイ。

同僚の黒人女性、ゼルダは、

イライザの分もタイムカード押してくれたり

(『来るの遅いよっ!』って列に並んでてくれて始業時間に間に合うようにしてくれる)、

姿がないと探してくれたりする世話焼き(好きな人に対してのみ)で、

文句が多くて(主に対象は夫。それから威張ってくる白人の男性上司。)、鋭く、かしこい。

二人の仕事は、政府の研究機関の掃除人。(1962年アメリカ冷戦時代)

ジェイルズとゼルダだけが、イライザの手話を理解してくれる。

ある日、研究所に南米で捕獲された異形の生き物が送られてくる。

半魚人みたいな形でウロコがあって目がギョロギョロしている。

時々(怯えて)暴れて咆哮する。水槽の中に厳重に縛り付けられる。

研究所の役人ストリックランドは、醜い生き物と蔑み、サディスティックに痛めつける。

異形の生き物がアマゾンで原住民たちに神と崇められていたことをせせら笑い、自身の差別意識と自己の優位意識(男性・白人・アメリカ人・文明人・エリート)に拍車をかける。

ついに、

「神とは、むしろ俺のような姿形をしていると思わないか?」と発言。

ストリックランドは、人間の傲慢さとあらゆる差別意識の具現化。

イライザは、情報をまったく知らずにその生き物と対面する。

最初は驚くが、心惹かれて、手話やゆで卵(が好き。ふたりとも)、音楽を通して仲良くなる。

 

ハイライト!

途中から涙とドキドキが止まらなくなって、映画館で、家にいるぐらい嗚咽していたんですが、

とりわけ、異形の生き物を助け出すために協力してほしいというイライザに追い詰められてついに、

「(そんなこと言ったって)彼は人間じゃないだろう!!」

と言ってしまうジェイルズに、イライザが、

「彼を助けなければ、私達だって人間じゃない」

という場面。

そうなんだよ。友達(好きな人)の苦境に、命をかけて助けようとしないものは人間じゃないんだよな。そこしかないんだよな。って、実感をこめて思います。

 

これは私だ……

最初、この作品がアカデミー賞と知ったとき、ええ~~と思ったのは、

予告を映画館で見て、SFかなあ・・・ファンタジー?? 異形の生き物・・・見た目もこわい嫌……と思ったから。

嫌悪したストリックランドと同じ。

でも、見ていると異形の彼、かわいかったり、不思議だったりする。慣れてくると、時々青く光ってきれい。

(ある科学者は、イライザと彼の交流に気付き、「あの複雑で美しい生き物を殺してはいけない」と言う。科学者のこういうところが好きです。)

ジェイルズは、初めて見た瞬間はぎょっとするのだけど、

まじまじと見てすぐ、「He is beautiful!」と言う。

その言葉に心を撃ち抜かれる。やっぱり芸術家ってすばらしいよ。

 

私は自分を、こどくな異形の生き物にも、言葉が話せないイライザにも、差別主義者のストリックランドにも、売れない画家のジェイルズにも、何人にも重ねて観ていました。すぐに自分と思う病。

 

ただし!

ひとりだけ、これは私だ! と思う以上に他の人をぴったり重ねた人物がいて、それが同僚のゼルダでした。

私はゼルダが出てきて2秒で、あ、あの人だ! と私自身の同僚を思い浮かべました。迫力ある美人っていうとこもそっくり

職場で、厭世観から、ぼんやり浮世離れした状態(つまり、抜け・漏れがたくさんある)の私を世話してくれたり、代弁してくれたり、きわめつけのパワハラ時にも、率先して文句を言いに行ってくれた。

同僚が友達、っていう、稀有な、そしてありがたい状況がよく似ていました。

……ってことは自分が主人公のつもりかーい。まあそうなんだけど。すぐヒロインぶる病。

 

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関係ないけど、新しく買った「グリーンクラシック」という名のマニキュアを喜んで塗ってるんですが、ふとしたときにぎょっとする。パンを食べてるときなど。

異形の生き物の指じゃ…。
緑のゆび(cf 吉本ばなな)ならぬ緑の爪。
見慣れないと、やっぱりぎょっとするんだよね。
でも、まじまじと見ると、美しい…。

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